エンジェル税制とは?要件・申請フロー・税優遇を完全解説【2026年最新】

エンジェル税制の企業要件・個人投資家要件、申請から確定申告までの流れ、税優遇内容を税理士がわかりやすく解説。申請は本店所在地の自治体(都道府県・政令市)へ行います

【公式情報】本記事は東京都産業労働局をはじめ各自治体のエンジェル税制ご案内を参照し、令和7年4月1日税制改正を反映した内容でまとめています。申請は本店所在地の自治体へ行います。申請はお早めに。例年11月〜3月はお問い合わせが集中します。

エンジェル税制とは

エンジェル税制は、ベンチャー企業への投資を促進するため、個人投資家(エンジェル)に税制上の優遇措置を与える制度です。投資家が一定条件を満たすスタートアップに投資した場合、所得控除や株式譲渡益からの控除により節税効果を得られます。

企業側にとっては、投資家にとって魅力的な投資案件となることで、個人投資家からの資金調達の成功確率が大幅に向上します。スタートアップのPMF(市場適合)達成を見据えた資金戦略の重要なツールです。

1. 税優遇の内容

個人投資家は「株式取得時点」と「株式売却時点」のそれぞれで税制優遇を受けられます。優遇措置には優遇措置A優遇措置Bプレシード・シード特例の3パターンがあり、企業の設立経過年数や要件に応じて適用が異なります。

株式取得時点の優遇

優遇措置対象控除内容
優遇措置A設立5年未満投資額−2,000円を総所得金額等から控除。上限は総所得×40%と800万円のいずれか低い方
優遇措置B設立10年未満投資額全額をその年の他の株式等譲渡益から控除。上限なし
プレシード・シード特例設立5年未満投資額全額を譲渡益から控除。20億円までは取得価額調整なし。※基準日が令和5年4月1日以降

株式売却時点の優遇

取得時優遇を受けた株式を売却する場合、課税の繰延(優遇措置A・B)または非課税(プレシード・シード特例)のメリットがあります。譲渡損失が発生した場合は、その年の他の株式等譲渡益と相殺可能で、翌年以降3年間の繰越控除も利用できます。

2. 企業の5つの要件

エンジェル税制の優遇措置を受けるには、基準日において企業要件と個人投資家要件をすべて満たす必要があります。要件の詳細(東京都例)をご確認ください。

要件1:持株割合

特定の株主・株主グループの保有株式割合が5/6を超えないこと。プレシード・シード特例では19/20に緩和。特定の株主とは発行済株式総数の30%以上を保有する株主を指します。

要件2:大規模法人

大規模法人(資本金1億円超等)ないし大規模法人グループの所有に属さないこと。発行済株式の1/2超を1つの大規模法人グループに保有されていないことが必要です。

要件3:未上場・風俗営業等でないこと

未上場・未登録の株式会社であり、風俗営業等に該当しないこと。

要件4:中小企業であること

業種ごとの資本金または従業員数で中小企業の基準を満たすこと(例:製造業は資本金3億円以下かつ従業員300人以下、小売業は5,000万円以下かつ50人以下など)。

要件5:設立経過年数に応じた要件

設立経過年数(1年未満/1年以上2年未満/2年以上3年未満/3年以上5年未満/5年以上10年未満)に応じて、研究者・新事業活動従事者の人数営業キャッシュフロー試験研究費等の比率売上高成長率などのいずれかのパターンを満たす必要があります。詳細はお住まいの自治体の要件表で確認してください。

申請取り下げになりやすいポイント

企業要件1(持株割合)、個人投資家要件1(現金・新規発行株式)、個人投資家要件2(同族会社判定)に反するケースが多い傾向があります。増資前の段階で税理士・会計事務所に相談することをおすすめします。

3. 個人投資家の2つの要件

要件1:現金・新規発行株式での取得

現金出資により、企業が新規に発行した株式を取得していること。現物出資や既発行株式の取得は対象外です。

要件2:同族会社判定の基礎となる株主に属さない

対象企業が同族会社の場合、所有割合が大きい上位の株主グループに属さない投資家のみがエンジェル税制の適用対象となります。同族会社とは、3人以下の株主・株主グループの所有割合が50%超となる会社です。

4. 申請から確定申告までの流れ

申請は本店所在地の自治体(都道府県・政令指定都市)に対して行います。手続きフロー(東京都例)に沿って、次の流れで進みます。

  1. Ⅰ 事前確認申請(任意):増資前なら本店所在地の自治体へ事前確認申請が可能。増資後の場合は不要。
  2. Ⅱ 企業の資金調達:株主総会決議、投資契約締結、払込、増資登記。
  3. Ⅲ 企業が自治体へ確認申請:申請要件の確認、必要書類の準備、電子申請。
  4. Ⅳ 自治体から確認書の交付:確認書を受領し、投資家用の確定申告書類を作成・交付。
  5. Ⅴ 投資家が税務署へ確定申告:企業から受領した書類を添付し確定申告。

申請はお早めに

申請書類の不備などから、窓口に連絡してから確認書の交付まで平均3か月以上かかるケースが多いです。日程に余裕をもって準備し、不明点は本店所在地の自治体のエンジェル税制担当窓口まで事前にお問い合わせください。

5. まとめ:税理士・会計事務所に相談を

エンジェル税制は、スタートアップの資金調達と投資家の節税を両立できる強力な制度です。一方で、企業要件・個人投資家要件は複雑で、申請書類の不備による遅延も少なくありません。

税理士・会計事務所によるエンジェル税制の申請代行を活用すれば、適用可能性の事前診断から確認申請、投資家への書類作成・交付まで一貫してサポートを受けられます。申請先は本店所在地の自治体(東京都、大阪府、その他都道府県・政令指定都市)となり、全国で同様の制度が運用されています。

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藤原実税理士事務所は、エンジェル税制の適用診断から申請代行、投資家向け書類作成まで一貫サポート。適用可能性診断(6万円税抜)から、まずはお気軽にご相談ください。

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